羽アリとシロアリの見分け方
外灯や室内灯に惹き寄せられて飛来してくる「羽アリ」。気を付けておきたいのは、シロアリとクロアリ双方の羽アリは、性質が違うということです。
結論としては、「家の中で羽アリを発見した場合は、(シロアリ・クロアリ問わず)業者に連絡して駆除の相談をする」ということになります。 対応方法を誤ってしまうとよくないので、しっかりとシロアリとクロアリの見分け方を覚えておく必要があるでしょう。
「もしかしてシロアリ!?」と思われがちですが、クロアリやシロアリに羽が生えたものの総称が羽アリなのです。ここではその見分け方について紹介していきます。最近になって羽アリを見つけた、という人は参考にしていただければ幸いです。
シロアリとクロアリの「羽アリ」見分けづらいことが悩みどころ
シロアリもアリも繁殖時期になる「羽化」して羽アリとなりコロニー(巣)を広げるために旅立ちます。実はどちらも見た目が似ているため見分けがつきにくいのです。さらにシロアリが羽アリになると黒っぽくなるのが特徴。見た目が似ているため、混同されがちですがまったく違います。
シロアリが羽アリになったものをクロアリの羽アリだと思って見逃してしまうと、シロアリが建物に侵入して被害を出してしまうかもしれません。また、すでにシロアリが発生している住宅では、繁殖時期になると大量の羽アリがでてきます。コロニーを拡大するための行動なので、放置しておくと被害の拡大を招く恐れも。羽アリがシロアリかどうかの見分け方を覚えておくことで、早めの対処が可能です。
羽アリは自力で駆除することができる?
実際に羽アリを発見した場合、業者の方の手を借りずに駆除することは可能なのでしょうか。
クロアリに関しては市販の駆除剤が販売されていますので、庭先で発見した場合に限っては自分の判断で駆除するかどうかを考慮することができます。
その一方で、シロアリは家を支える木材に被害が及ぶ上に見つけづらい場所に生息しているため、業者の方の手を借りなければシロアリ駆除は困難です。
見分けるためのポイントを解説
それでは本題となる、実際に羽アリを発見した時にそれがシロアリであるのかクロアリであるのかいくつかのチェックポイントをあげますので、しっかりと見極めてください。
1、羽の形
一番見分けやすいポイントとしてあがるのが、羽アリの羽の形です。
羽アリの羽は前後左右に4枚あるのですが、シロアリの方は前後の羽が同じ形をしているのに対し、クロアリの方は前羽が大きくなっているというのが違いになります。
また、シロアリの方は全体的にクロアリの方より羽が大きめになっていますので、しっかりと見れば違いに気づくことができるので目をよく凝らしてみてください。
2、羽アリの発生時期
詳しくは後述で触れますが、羽アリは種類によって発生時期に違いがみられます。
そのため、発生した時期によってどの羽アリであるのかを大体予測することができ、それによってシロアリであるかクロアリであるのか判断することも可能です。
しかし、シロアリであっても種類に応じて発生時期が違いますし、クロアリと発生時期が被っているシロアリもいますから確実性は欠けているというのが難点となるでしょう。
3、羽アリの体の部分
もう一つのチェックポイントは、羽アリの体の部分です。
シロアリの羽アリの場合は触角が真っすぐかつ数珠状、胴体も寸胴になっている一方で、クロアリの羽アリはくの字型のくびれた胴体という違いが見られます。
羽の形よりは見分けづらいですが、併せて確認することにより信ぴょう性がより増しますから、できることなら羽と体をしっかりとチェックしたいところです。
4、羽アリの発見場所
シロアリの羽アリはあまり人目のつかない場所に生息することが悩みどころです。
木材を食べる習性上致し方ないのですが、気になっている場合はくまなくシロアリがいないのかを確認した方がいいでしょう。
特に生息しやすい場所とされているのは床下で、そこにコロニーを作っている危険性がありますから必ず調べるようにしてください。
一方で、クロアリの羽アリは庭先等のクロアリが生息する場所で見つけることができますが、その場合は特に心配する必要はありません。 ただし、詳しくは後述で触れますが自宅でクロアリの羽アリを発見した場合は危険なので、安心してはいけません。
5、蟻道の有無
蟻道とは文字通り、アリが通る際に作る道のことです。この蟻道に関しても羽アリの見分けに役立ちます。
シロアリの場合は、基本的に侵入する際に必ず蟻道を作ることが特徴です。また、蟻道に関しても硬めに作っているため少し触れる程度では潰れることがなく、硬度を感じることができます。
対してクロアリの場合は、蟻道を作るかどうかはまちまちです。もし蟻道を作っていたとしても簡単に崩れるようなサラサラとした蟻道になりますので、シロアリと比較すると大きな違いを感じることができます。
シロアリを直接発見するのがなかなか難しい以上、蟻道を通して生息の有無を確認する必要性も出てきますので、蟻道の習性についても覚えておくようにしましょう。
6、木材の被害
こちらもシロアリを直接確認できなかった場合の判断材料になります。当然ですが、シロアリは木材を食べますので木材が食べられている跡を発見した場合はシロアリが生息していると考えていいでしょう。
そして、クロアリそのものは木材を食べることはありませんので、庭先でクロアリの羽アリを見かけるだけの場合は、木材も被害を受けていないはずです。
大まかに確認しやすいポイントを整理すると、このようになります。もちろん、いきなり羽アリを見つけてシロアリかクロアリか判断するのは難しいことなので、費用はかかりますが業者の方に連絡して羽アリについて聞いてみるということも選択肢です。
クロアリの羽アリは大丈夫なの!?
ここまでは、シロアリの羽アリを発見した時の危険性について説明してきました。しかし、中には「クロアリの羽アリを発見した場合は、大丈夫なのか」と疑問を持った人もいるのではないでしょうか。
結論からいえば、クロアリはシロアリとは違って木材を食料にするという習性はありませんので、発生しても気にする必要はありません。クロアリの羽アリを見かけるケースは前述の通り家の庭であることが多く、当然木材を食べに侵入するということはないので、危険性自体はないです。
家にクロアリの羽アリがいたら要注意
一方で、家の中でクロアリの羽アリを発見した場合は放置してはいけません。クロアリは木材は食べませんが、シロアリを食べる習性がありシロアリにとっては恐れるべき存在です。
クロアリの羽アリが家の中に現れたということは、「家の中に住み着いているシロアリを食べに入ってきた」といいう可能性があります。
そのため、クロアリの羽アリを自宅で発見→シロアリを嗅ぎ付けて自宅に侵入してきた可能性あり→自宅にシロアリが生息しているかもしれない→家の木材が危険にさらされる、と結びつけることができ、クロアリの羽アリの発見がシロアリの生息を知らせるシグナルとすることができるのです。
シロアリを直接発見できずとも可能性がある以上は危険なので、家の中で羽アリを見かけた場合は見極めをするまでもなく即座に業者に連絡するようにしましょう。
羽アリの種類について
シロアリとクロアリの「羽アリ」の見分け方について表にしました。羽アリを見分ける際の参考にしてみてください。
ヤマトシロアリ
引用元:日本しろあり対策協会 http://www.hakutaikyo.or.jp/faq/faq_cat/biology
見た目 | 触覚が数珠状で直線になっている。4枚の羽根の大きさがほぼ同じ。胴体が寸胴になっている。 |
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発生時期(飛来) | 4月~5月 |
被害 | 湿っている木材を好む。古材より新材を好んで加害する傾向にある。被害の広がる速度が早い。 |
活動時期 | 一年中 |
分布 | 日本全域 |
イエシロアリ
引用元:日本しろあり対策協会 http://www.hakutaikyo.or.jp/faq/faq_cat/biology
見た目 | 触覚が数珠状で直線になっている。4枚の羽根の大きさがほぼ同じ。胴体が寸胴になっている。 |
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発生時期(飛来) | 6月~7月 |
被害 | 水分を運べるため乾いている木材にも被害が及ぶ。建物の下部材を主に食い荒らす。 雨漏りが発生していると小屋組材まで侵入することも。加害速度は比較的遅い。 |
活動時期 | 一年中 |
分布 | 千葉県付近から西の太平洋岸や瀬戸内海沿岸、九州・沖縄地域 |
アメリカカンザイシロアリ
引用元:日本しろあり対策協会 http://www.hakutaikyo.or.jp/faq/faq_cat/biology
見た目 | 触覚が数珠状で直線になっている。4枚の羽根の大きさがほぼ同じ。胴体が寸胴になっている。 |
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発生時期(飛来) | 7月~9月 |
被害 | 乾いている木材でも被害を受ける。もともと日本にはいなかった種類だが輸入木材によって侵入した。食害進行は遅い。 |
活動時期 | 一年中 |
分布 | 東京・神奈川・大阪・和歌山・兵庫・三重・福井・福岡・広島・鹿児島など |
オオクロアリ
見た目 | 触覚が「くの字型」になっている。2枚の前羽が大きく、後羽は小さい。腹部がくびれている。 |
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発生時期(飛来) | 5~6月 |
被害 | 家の中に進入した場合、人に不快感を与える。 |
活動時期 | 一年中 |
分布 | 北海道から九州・対馬・屋久島 |
シロアリを見つけたらどうする?
大量にシロアリの羽アリが見つかった場合、建物内から発生している可能性があります。その場合、建物が被害を受けているかもしれません。また数匹程度だった場合は、外から飛来したと考えられるため定着している可能性は低いでしょう。
とはいえ、シロアリの被害を最小限抑えるには早期発見が重要。発生したまま放置していると駆除だけではなく、大きな修繕が必要になることもあります。無料で点検を行なってくれる業者もあるので、少しでも不安があるならシロアリ調査を依頼してください。